2023/01/22 18:44
今回は当店で扱う、ドイツの一点もの陶器「Fat Lava(ファットラヴァ)」について書きたいと思います。
そもそも「Fat lava(ファットラヴァ)」とは、
どろりと溶けたようなムラのある釉薬の質感や鮮やかな色合い、冷え固まった溶岩のようなごつごつとした質感が特徴の花器の事。
同じデザインがなく、希少性が高いので今もなお世界中のコレクターたちを中心に愛されています。
平たくいえば、1950年代-1980年代を中心に、ドイツ(特に有名なものの大半は西ドイツ)で制作され、ある特徴を持った陶器の、その中でもニッチな、ごく限られた特徴をとらえカテゴライズされた陶器のこと。
Fat=太った Lava=溶岩と言う名前の通り、溶岩のように流れているようなディティールだったり、情熱的なマグマのような真っ赤なカラーだったり。はたまた冷えて固まった溶岩、つまり花崗岩のようなザラっとしたテスクチャだったり。厚く粗い釉薬も象徴的なポイントです。
ただこれを聞いてから当店のアイテムをご覧いただくと、溶岩?真っ赤?と疑問に思われる方もいらっしゃるかも知れません。
ただこれを聞いてから当店のアイテムをご覧いただくと、溶岩?真っ赤?と疑問に思われる方もいらっしゃるかも知れません。
当店では個性があり過ぎるアイテムは置いておりません。
と言うのも、僕自身Fat Lavaを好きになったのがその唯一無二のデザインと希少性。その中でもモダンで現代のライフスタイルに合うデザインに触れたから。
賛否両論あると思いますが、僕自身の考えとしては「フラワーベースや陶器は、オブジェとして目立つものではなく、日常に馴染み生活を豊かにするもの」という認識であり、数あるFatLavaの中でも、一際モダンで落ち着いた印象、そして普段使いで空間を壊さないものをセレクトしております。
続いてはその誕生の背景を書いていきます。
長文になるのでお好きな方は是非お読みください。
歴史はいいので商品を見る。という方は以下のリンクよりご覧ください。
Fat Lava 商品ラインナップ→https://www.demode-vintagejewelry.com/categories/4829756
-Fat Lavaの歴史-
第二次世界大戦後、ドイツは国を挙げて、陶器産業の再建に取り組みました。
1950年代から1970年代までの全盛期には、100以上の陶器/磁器会社や陶芸家が西ドイツを主としてアーティスティックな陶器を積極的に生産していました。
それらを総称して【West German Art Pottery】と呼ばれています。
デザイン倫理を主張し 曲線的で複合的な要素を融合する、まるでキュビズムのような陶器たちが続々と登場。
デザイン倫理を主張し 曲線的で複合的な要素を融合する、まるでキュビズムのような陶器たちが続々と登場。
それに加え、多種多様な装飾効果を施した製造パターンが確立され、次第にドイツにおける陶器産業の革命は大成功を収めていきました。
1950年代後半には、のちに【Fat Lava】と称する、溶岩や花崗岩のようなテクスチャ・ディティールが特徴的な釉薬を施すスタイルが多くの工房や企業で標準的な手法となっていきます。
一つ一つを手作業で製作し、釉薬の活性化や温度や湿度によって全てが唯一無二の作品に。
それらはプロダクトデザインが席巻していく1980年代まで大きな盛り上がりを見せていました。
1950年代後半には、のちに【Fat Lava】と称する、溶岩や花崗岩のようなテクスチャ・ディティールが特徴的な釉薬を施すスタイルが多くの工房や企業で標準的な手法となっていきます。
一つ一つを手作業で製作し、釉薬の活性化や温度や湿度によって全てが唯一無二の作品に。
それらはプロダクトデザインが席巻していく1980年代まで大きな盛り上がりを見せていました。
当時有名だったのがScheurich、Ruscha、Carstens、Bay、ES、Dümler&Breidenなど。聞かれた事がある社名はありますでしょうか。
1970年代初頭に生産が減速し始めた一方で、1980年代までさまざまな趣向の陶器が生産され続けました。その多種多様な形と表現豊かな色でよく知られています。
特に1990年代半ばから世界的にも注目を集め始め、以降コレクターの間で関心が高まり続け、現在に至ります。
近年日本でもアンティークショップやヴィンテージショップで見かけるようになりました。
【Fat Lava】と【West German Art Pottery】という用語はしばしば同じ意味で使われることも多いのですが、実際には【Fat Lava】は【West German Art Pottery】の中の一部のカテゴリー。
それが前述した、溶岩のような外観を与える厚い釉薬を用いた陶器の総称です。
そして実は【Fat Lava】という言葉は後付けなんです。
そして実は【Fat Lava】という言葉は後付けなんです。
2006年にMark HillとGraham Cooleyという2人の博士が、キングスリン芸術センターで「Fat Lava」展を主催。
イギリスや世界各地から約3500人以上がこの展覧会に訪れたそうで、【Fat lava】という造語が最初に登場したのがこの時です。
後にMark Hillは、Graham Cooleyの展覧会とその図録とカタログである "Fat Lava: West German Ceramics of the 60s & 70s"を出版。
そう、FatLavaという名前は近年生まれたものなのです。
作品が先行し、後に命名されるという特異な歴史を持っています。
というミステリアスで奥が深い【Fat Lava】。
日常に彩りを与えるあなただけの陶器。
是非お好みのアイテムを見つけてみてくださいね。
商品一覧はこちらよりご覧いただけます。→https://www.demode-vintagejewelry.com/categories/4829756
最後までお読みいただき有り難うございます。
DÉMODÉ 細野